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日本の名城を撮ろう! 押さえておくべきポイント① 霧や光を利用して城郭を立体的に浮かび上がらせよう

今や空前のお城ブームが到来している。日本には数々の名城があり、最近ではそれを撮ろうと出かける人も多い。とはいえ、ただそのまま撮っただけでは見た目と同じ。お城を格好よく、また美しく見せるにはどのようにすればよいのか? 城郭写真を撮り続けるプロにその技を紹介してもらおう。

 

日本の名城を撮ろう! 城郭を表情豊かに描く撮影術

  1. 霧や光を利用して城郭を立体的に浮かび上がらせよう
  2. 天守をカッコよく見せるにはポジションとアングルが決め手
  3. 堀や石垣にも注目! お城の機能美を表現しよう

 

光や自然現象を生かすことがお城撮影の第一歩

お城と言えば、天守があり、そこにお殿様が暮らしている……そんな想像をしてしまう人は少なくないと思う。ただ、実際のところ天守に人はおらず、お殿様は近くに御殿を構えて暮らしているのが一般的。天守というのは、その土地の支配者を象徴するシンボルとしての役割を担っており、言わばお城の顔といえる存在だった。それでは、その顔といえる天守をいかに魅力的に見せるか。その撮影方法をいくつか紹介していこう。

 

日本の名城を撮ろう!

<お城DATA>
越前大野城 (福井県大野市)
越前・朝倉氏を滅ぼした織田信長により、この地の支配を命じられた金森長近により築城される。模擬天守は街のシンボル。

 

城址や天守を際立たせる光

お城の撮影に限らず、写真撮影でもっとも大切なのは光の選択である。舞台の主役にスポットライトが当たるように、基本的に天守へしっかりと光が当たっていることが大切だ。順光、斜光、逆光と大きく三種類に分けられるが、天守をより立体的に見せるためには「斜光」をうまく利用するのがオススメ。また、少し露出設定は難しくなるが、天守の後ろに太陽がある「逆光」を利用すると、よりドラマチックな表現をすることも可能になる。

 

[斜光] 山の中に潜む城郭は斜光で照らし出す

三の丸にある大矢倉を斜光で撮影する。矢倉の構造をサイドからの光によってより立体的に見せる狙いだ。写ってはいないが、石垣の大きさを見せるために見学している人を対比で入れるのも良いだろう。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 5D Mark III TS-E45mm F2.8 絞りF4 1/50秒 ISO100 WB : 太陽光 C-PLフィルター使用

<お城DATA>
苗木城 (櫓台) 岐阜県中津川市
武田vs織田の覇権争いにより度々奪い合いとなった。自然の巨石を利用した堅城であり、木曽川を堀とした天然の要害。

 

[逆光] 逆光で天守のフォルムの美しさを見せる

喜斎門跡より、天守の背後に太陽が沈む時間に逆光で撮影。雲の形がいまいちだったので、長時間露光によって空を流してみた。日中にNDフィルターを使用する場合は、ハレーションに注意。ライブビューなどで確認しよう。

日本の名城を撮ろう!
PHASE ONE XT IQ4 150MP HR Digaron-S 23mm f/5.6 絞りF16 1/15秒 7分フレームアベレージ ISO50 WB : 太陽光

<お城DATA>
姫路城 (兵庫県姫路市)
現在の姿は、西国将軍と称された池田輝政により関ケ原の合戦後、大改修されたもの。巨大な堀と櫓を有する豪壮華麗な名城だ。

 

[柔らかな光] しっとりとした柔らかな光で濡れた石垣に陰影を付ける

梅雨時期の雨と新緑は、石垣の存在感をより一層引き立たせる演出効果がある。柔らかい光が、雨上がりの石垣を照らし、ここで散った武士たちが、まるで何かを訴えかけているような気持ちにさせてくれる。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 5D EF24-105mm F4L IS USM 絞りF9 1/25秒 ISO100 WB : 太陽光 C-PLフィルター使用

<お城DATA>
小谷城 (滋賀県長浜市)
戦国大名・浅井長政の居城。難攻不落の山城であったが、織田信長に攻められ、壮絶な籠城戦の末に落城した。

 

天空の山城は雲海と絡める

次に自然現象を生かすことを考えたい。特に山頂の城郭がまるで天空に浮かんでいるかのような光景はとてもフォトジェニック。これを撮影するには、盆地で川が近くにあり、前日に良く晴れていて、翌早朝の強い冷え込みが必要となる。しかし、せっかく霧が発生しても、風が強すぎて霧が散ってしまうことも。一度や二度のチャレンジではお目にかかれないかもしれないが、粘り強く挑戦する価値はあると思う。

 

霧の中に浮かぶ臥牛山山頂に立つ天守

晩秋のころ、早朝の放射冷却により、盆地特有の霧が発生することがある。前日によく晴れていることと早朝の冷え込みが重要。気象条件をある程度把握していても運試しとなるが、挑戦する価値は十分あるだろう。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 5D Mark II EF70-200mm F4L USM + エクステンダー EF1.4× II 絞りF5.6 1/160 ISO250 WB : 太陽光 C-PLフィルター使用

<お城DATA>
備中松山城 (岡山県高梁市)
天守は重要文化財。戦国時代、数々の動乱を経て江戸時代に入り、水谷勝宗により改修された本格的な近世山城。

■霧がないと城は目立たない

光も構図も定まらない日中の一枚。天守が霧に包まれる姿を一度見てしまうと、少し物足りなく感じることだろう。

日本の名城を撮ろう!
 

雨の日の霧は流れがあり立体的に天守が際立つ

幻想的な姿が魅力的な模擬天守。作家・司馬遼太郎に「日本一美しい城」と言わしめた。特異な地形により、霧が頻繁に出る。特に雨によって発生する霧は流れが速く、紅葉と天守を引き立てて撮影することが可能だ。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 6D EF400mm F5.6L USM 絞りF5.6 1/200秒 ISO250 WB : 太陽光

<お城DATA>
郡上八幡城 (岐阜県郡上市)
日本最古の模擬天守を有する近世の平山城。山深い盆地の城で、特定条件により発生した霧を纏う「天空の城」としても知られる。

■天守が平面的に見える

距離感がなく、天守も引き立たない日中の一枚。背景の山が中途半端に見えているだけに閉塞感がある。奥行きを見せたいところ。

日本の名城を撮ろう!
 

 

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100名城フォトコンテスト
主催 : 株式会社ワン・パブリッシング
後援 : 日本城郭協会

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