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【動画で“自分の世界”を究める新進映像クリエイターたちの活躍・第2回:藤原嘉騎】雄大なドローンスケープの世界

YouTubeやVlogなど、スチル写真とは違ったカタチで作品を生み出すクリエイターがいま注目を集めている。はじめから動画でアプローチを開始した人もいれば、もともとはスチルがメインで徐々に動画の世界に足を踏み入れていった人もいる。映像や作品に対するそれぞれのこだわり、撮影や編集に関するメソッド、さらには機材のハナシなど、6名の新進クリエイターたちに動画への想いについて熱く語ってもらった。今回は藤原嘉騎さんをご紹介!

藤原嘉騎

元プロスノーボーダーという異色の経歴を持つ写真家。写真界最高峰とも言われるNational Geographic Travel Photo Contest 2019 Peopleにおいて世界2位を受賞。Adobe Lightroomの解説やプロモーションムービーの出演、カメラメーカーカタログ、カメラ雑誌、商品レビューなど幅広い活動を行っている。

<公式サイト>

https://www.yoshiki-fujiwara.com/

トップページ上部にYouTubeアイコンがあり、そこから「藤原嘉騎チャンネル」に飛ぶことができる。メインのタイムラプスのほか、ドローンで撮影したアイスランドやモンゴル、冬の鳥取砂丘などの動画作品も人気が高い。

 

ドローンによる映像が新しい発見をもたらす

私はプロフォトグラファーとして活動する傍ら、動画撮影も行っている。使用している機材は一眼カメラやカメラ付きドローン。一眼カメラは連続する数百枚の写真を繋げて作るタイムラプス動画撮影のために用い、ドローンは4K動画撮影に使用している。許可申請が大変だが、一眼カメラと違い、ドローンは普段の生活では見ることのできない新しい視点からの映像が得られる。最大の魅力は、やはり鳥瞰で景色を見られることだ。真上にほんの数メートル、高度を上げるだけで視野は大きく広がり、眼前の木々を超え、遠くの山々の稜線を臨み、さらにその奥に広がる雲海を映し出すことすらある。

 

これまでに見たことがないような圧倒的な景色と360度の多彩なアングル。前に進ませれば進ませるだけ、構図はどんどん増えていく。よく聞く言葉ではあるが、ドローンが映し出す映像は、鳥になったかのような気持ちにさせてくれる。動画であれば、なおさらその効果は高まる。

 

さらに、今回紹介させていただいた鳥取砂丘の動画でも使用しているドローンならではの撮影方法である真俯瞰構図。砂丘を真俯瞰で捉えることで巨大な砂紋の模様を見ることができ、その姿はまるで砂の龍のようであった。

 

このようにドローンは、地上からでは無理であろう新しい映像と発見をもたらしてくれる。

 

既存のイメージを覆すような鳥取砂丘を表現

鳥取砂丘全体を捉えた、通常は目にすることのないドローンならではの映像である。鳥取砂丘と言われてイメージするものとは全く違い、新しいイメージを植え付けることができるのもドローン映像の魅力だ。


<DJI Mavic Air 2 × 写真家 藤原嘉騎/鳥取砂丘4K>

 

飛行ルートを確認し風景をイメージする

ドローンは天候に左右されやすい。特に風には非常に弱く、撮影当日の天候が快晴であったとしても風速5メートル/秒以上になると飛ばせない。こういうことは頻繁にあり、数秒の撮影のために何日も要することもある。

 

また、日の出・日の入りの方角や天候のほかに、撮影場所の地形を調べることも重要だ。マップアプリや地形アプリを使用して事前に飛行ルートや撮影する風景をイメージすることで、スムーズな撮影が可能になる。同時にリスク回避にも繋がる。

 

ドローンで360度のアングルを自在に捉えていくには、操作の上である程度の慣れが必要だ。特にドローンがこちらを向く対面飛行になると、操作の前後左右が逆になり戸惑ってしまう。対面飛行、旋回など一つ一つ順番にマスターしていくのが上達の近道。自動車の運転のように何度も練習し慣れていくことが大切である。

 

アプリを活用して太陽の位置を事前チェック

写真や動画を撮る際に重要になるのが太陽の位置である。太陽の光が構図内に入る映像は幻想的な雰囲気を演出してくれる。私はそれを調べる手段として「サン・サーベイヤー」というアプリを利用している。3Dコンパスにより太陽の位置や日の出・日の入りの時間帯が視覚的にわかりやすく表示され非常に便利だ。有料版になれば太陽だけでなく月と天の川の位置も表示されるので、天の川撮影に興味があれば有料版がオススメ。

 

動画を撮るドローンはDJI Mavic Air 2がベスト

ドローンはDJI Mavic Pro2と、先月発売されたばかりのDJI Mavic Air 2。レンズ性能やセンサーサイズが大きいPro2は静止画メインでの動画撮影で使用し、HDR動画撮影が可能で太陽が画角内に入る逆光時でも美しい映像を出してくれるAir2は動画メインで使用している。私の動画撮影最強の相棒だ。ソニーα7R III、オリンパスOM-D E-M1 Mark IIIは主にタイムラプス動画のための静止画撮影に使用。

 

ハードルが高いだけに作品が完成した喜びは格別

美しい空からの映像を撮るには、事前の準備も大切だ。日本ではドローン(無人航空機)を飛行させるには国土交通省と地権者の許可を取る必要がある。まず国土交通省に申請をすると、飛行目的と場所、飛行方法が適切かを審議され、認められれば許可証を発行してもらえる。なかにはこの許可証のみでいいと勘違いしている人もいるようだが、国土交通省は空の許可のみなので、地の許可、つまり地権者の許可も得なければならない。地権者は場所によって県や市町村、個人などさまざまである。これらの手続きには時間がかかることもあるし、時には撮影を断念せざるを得ないこともあるのが現実だ。

 

このように、ドローン撮影は容易には行えないものだが、それだけに撮影できたときの喜びは大きい。普通ならヘリをチャーターでもしない限り、見ることができない特別な景色に出会える。その動画をYouTubeで発信し、自身が味わった感動を多くの人に見てもらえるのは非常にうれしいことであるし、手応えも感じている。