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ヒコーキ写真家・A☆50/AkiraIgarashiさんの3ステップRAW現像術! 機体と空の境界部の同化は厳禁、立体感とメリハリが現像のキモ

写真家はRAW現像で仕上げることを前提に撮影することもあるが、その工程は意外にも簡潔だったりする。ここではヒコーキ写真家・A☆50/AkiraIgarashiさんが行っているRAW現像を3ステップで紹介する。

 

<Before(現像前)>


ハイライト部の階調を保持するために露出を暗めに撮影。空と胴体の境目がわかりづらく、画像全体がくすんでいる。機体の立体感も乏しい。


<After>


明るさ、コントラストを中心に細部を処理して、機体の立体感を出した。現像前に比べてパンチの効いた仕上がりとなった。

 

純正レンズ&純正ソフトならではの現像処理を活用

RAW現像では良い部分を際立たせることや、自然な仕上がりになることを意識しながら作業する。シーンにもよるが、撮影条件で追い込める部分やカメラで設定できる部分は、なるべく現場で行うようにしている。そのため、現像時に多くの手数をかけたり、過大にスライダーなどを動かしたりすることは少ない。

 

冒頭の画像では機体の反射部分の階調を残したいので、やや暗めの露出設定をして撮影した。広範囲に白トビしないよう、いわゆる保険をかけて撮影したのだが、このままでは胴体と空の境界部分が同化しかけていて立体感に乏しい。そのため、機体にメリハリをつけ、胴体がギラついた弾丸のようになるように現像処理をしている。

 

1ステップ目、まずは明るさ調整で写真全体を明るくし、さらにトーンカーブでコントラストを強調。2ステップ目は色味の調整だ。撮影時にやや青めの色温度「4800K」に設定していたため、ここではグリーン方向へ色味が転んでしまった。そこでマゼンタを少し足して、自然な色味になるように整える。最後の3ステップ目は仕上げ。レンズ補正パネルを使用し、レンズの特性に由来する色にじみや周辺光量落ちなどを補正、低減する。

 

今回は使用していないが、絞り開放時のレンズ収差や、絞り込み時の回折現象にはデジタルレンズオプティマイザの効果が大きい。純正レンズと純正ソフト「DPP」を使うメリットを大いに感じることができる。

 

3ステップRAW現像術:トーンカーブとシャープネスでくっきり鮮明な描写に仕上げる

使用ソフト【 キヤノン/Digital Photo Professional(ver. 4.12.0.5)】

 

ステップ1. 写真全体を明るくし、その後トーンカーブを使ってメリハリを与える


暗めの露出設定で撮影したので、まずは全体の明るさを調整する。画像を大きくし、胴体と空の部分が自然な明るさとなるようスライダーを少しずつ動かす。ここでは「0.5」に設定。

 

さらに、トーンカーブで機体が押し出されるようなメリハリを与える。自然な仕上がりを目指すのであれば、トーンカーブをなだらかなS字になるように描くのがコツだ。コントラスト調整は「コントラスト」や「ハイライト/ シャドー」のスライダーでも設定できるが、トーンカーブだとより直感的に調整が行える。

 

ステップ2. グリーン方向へ色味が転んでいるので、マゼンタ側へスライダーを移動


ブルーとイエローの色温度は撮影時に4800Kに設定済みだったため、ここではマゼンタとグリーンの設定を行う。撮影した画像はややグリーン方向の色味だったため、マゼンタ側へ「-1.5」スライダーを動かす。

 

ステップ3. レンズ補正パネルで色のにじみや周辺光量、シャープネスなどを整える


仕上げはレンズ補正パネルで調整を行う。まずは、色にじみのチェックボックスをクリックして色にじみを低減。周辺光量と歪曲は、スライダーを動かして効果を見ながら数値を決める。ここでは「50」と「100」に設定し、微妙な光量落ちと歪曲を補正した。

 

そしてディテール重視のヒコーキ写真の場合、特に寄りのカットでは、細かい部分のシャープさが重視される。アンシャープマスクを選び、強さ「5.0」、細かさ「2.0」、しきい値「4.0」に設定し、これで完成!

 

【色にじみ】

胴体下部のアンチコリジョンライトは写真全体から見ると目立たない部分だが、色にじみ低減の効果がもっともわかりやすい。

<Before>



<After>

 

【シャープネス】

アンシャープマスクの適用によって、文字や窓枠などの輪郭が強調されてくっきりした。

<Before>



<After>

 

「シャープネス」の注意点
DPPでは基本調整パネルやディテール調整パネル、レンズ補正のパネルでアンシャープマスクの調整が可能。ただし、ピクチャースタイルを変えるとアンシャープマスクの数値も変わるので注意したい。また、シャープネスのかけすぎは文字部分が細くなったりノイズを生じたりするので細かな設定が必要となる。