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野鳥撮影時に役立つ双眼鏡はコレ! 双眼鏡選びのポイントとオススメモデル

野鳥撮影において、遠くの被写体を大きく写す撮影機材を揃えること以上に大切なことが、被写体となる野鳥の生態を知り、野鳥を見つける観察眼を養うこと。このとき役立つのが双眼鏡だ。双眼鏡があれば、離れた場所から野鳥を見つけることができ、野鳥の種類や行動を確認できるうえ、撮影の邪魔になる枝や葉が無いかチェックできる。

 

双眼鏡には、用途によって様々な種類があり、自分に合った1台を見つけるのに苦労する。ここでは、野鳥を見つけ、素早く撮影の準備に入れるように野鳥撮影のサポートをすることに目的を絞り、双眼鏡選びのポイントとオススメの双眼鏡を紹介したい。

▲薄暗い森の中で野鳥の姿を探すとき、対物レンズ有効径の大きな明るい双眼鏡が威力を発揮する。

 

双眼鏡選びの5つのポイント

(1) 倍率を選ぶ

倍率は対象物をどれだけ大きく拡大して見ることができるかを数値で表したもの。一般に野鳥観察向けのものには、8倍、10倍、12倍がある。8倍はカメラ用レンズに例えると35mm判換算の400mmに相当すると言われ、10倍は500mm、12倍は600mmに相当する。

 

このなかでオススメは8倍。野鳥を観察することが目的であれば、10倍、12倍が魅力的に見える。しかし、木が生い茂った森やどこまでも続く草原、広がる干潟の中から小さな野鳥を探すことを考えると、より広い範囲が見える8倍が使いやすい。

 

(2)対物レンズ径を選ぶ

双眼鏡に付けられた「8×42」という表記の「8」は倍率、「42」はレンズの明るさを左右する「対物レンズ径」を示している。対物レンズ径は双眼鏡の対象物側のレンズ直径を意味し、大きいほど取り込める光量が大きくなり、暗い森の中でも野鳥の姿と羽根の色をハッキリと見ることができる。また、写真でいうところの被写界深度も浅くなり、ピントを合わせた対象物が鮮明に見えるのに対して、その前後は大きくぼけ、野鳥が立体的に見える。

 

対物レンズ径の40mm以上は明るい大口径クラス、30mm以上40mm未満は中口径クラス、30mm未満は携帯性重視のコンパクトクラスと分けることができる。ただし、対物レンズ径が大きくなると双眼鏡の重量も増すので、撮影機材とともに持ち歩くことを考えると40mm前後が理想的。

 

(3)実視界の広いものを選ぶ

「実視界」は双眼鏡の視野の広さを角度で表したもので、この数値が大きいほど広い範囲が見える。下の写真は実視界の広いタイプと狭いタイプの見え方の違いを説明するためのイメージ。倍率が同じ8倍であれば、対象物の大きさは同じに見えるが、視野の広さは異なってくる。そのため、実視界の広い双眼鏡のほうが野鳥を探しやすいと言える。なお、広視界か否かの基準はJIS規格に定義されているが、実態に即していない部分もあるため、本記事では8倍の双眼鏡の場合、実視界7.5度以上のものを“広視界タイプ”と呼ぶこととする。

▲双眼鏡の仕様の中で重要な要素の1つが「実視界」の値。この値が大きいほど視界が広く、対象物だけでなく、周囲の状況も確認できる。

 

(4)EDレンズを使った高級モデルを選ぶ

通常のガラスレンズのみで構成された双眼鏡は色収差を補正しきれず、色にじみが生じて見づらくなる。特にコサギやハクチョウなどの白い野鳥では顕著で、注視すると目がチカチカする場合もある。こうした状況を避けるためには、色収差を補正する能力の高いED(特殊低分散)ガラスレンズを採用した双眼鏡を選ぶのがベスト。EDレンズの名称はメーカーによって異なる場合もある。興和光学では、XDレンズと呼ぶが、色収差を補正する効果は同じ。

 

(5)アイレリーフが長ければ眼鏡をかけていても安心

アイレリーフの数値は接眼レンズから視野全体を見渡すことができる位置までの距離を表したもので、裸眼で10mm以上、眼鏡使用で15mm以上あれば安心して使える。

 

野鳥撮影のおすすめの双眼鏡4選

上記の5つのポイントを踏まえ、大きさ、重さなどを加味して、野鳥撮影時の被写体探しに最適な双眼鏡4モデルをセレクトした。いずれも光学性能に優れ、防水・防曇構造を採用し、反射を抑えた多層膜コーティングが施された高品質なものばかり。なお、今回は10万円以上の高級モデルは対象から外し、4〜6万円程度の予算で購入できる手ごろな実用モデルに限定した。

 

【その1】軽くて重量バランスに優れた「興和光学 BDⅡ42×8XD」


対物レンズに特殊低分散ガラスのXDレンズを搭載することで色収差を徹底的に抑え、周辺部までシャープな見え味を実現した高性能モデル。2019年10月末に登場したばかりで、人気の高かった前モデルの光学系を見直すことで、軽量化と実視界の拡大を実現した。実視界8.2°は、8×40クラスの双眼鏡としてはトップクラスの値。視界の広さと重量バランスの良さは特筆すべきものがある。参考価格は49,500円(税込/2020年1月30日時点)。

■KOWA BDⅡ42×8XD 主な仕様
倍率:8倍
対物レンズ径:42mm
実視界:8.2°
アイレリーフ:17mm
最短合焦距離:1.8m
大きさ(全長×全幅×全高):139×128×52.5mm
重さ:640g

 

【その2】クリアな視界とスマートなデザインが魅力「ニコン MONARCH 7 8×42」


20万円台のハイエンドモデル「EDG」、10万円台のハイスペック&広視界モデル「MONARCH(モナーク) HG」に次ぐ高性能シリーズが「MONARCH 7」。ED(特殊低分散)ガラスを採用して色収差をしっかりと補正、さらにプリズム面に高度なコーティングを施して、明るく自然な色調と鮮明な視界を実現している。実視界は8.0°と広く、素早く野鳥を見つけることができる。参考価格は47,370円(税込/2020年1月30日時点)。

■Nikon MONARCH 7 8×42 主な仕様
倍率:8倍
対物レンズ径:42mm
実視界:8.0°
アイレリーフ:17.1mm
最短合焦距離:2.5m
大きさ(全長×全幅×全高):142×130×57mm
重さ:650g

 

【その3】ZUIKOクオリティの光学性能を持つ「オリンパス 8×42 PRO」


ZUIKO PROレンズにも施されたZEROコーティングによってゴーストやフレアの発生を抑え、色収差を抑えるEDレンズを採用し、プリズム面に特殊なコーティングを施すことで最大透過率94%以上のクリアな視界を実現した高性能モデル。実視界は7.5°と控えめだが、実用的には十分な視界の広さを持つ。最短合焦距離が1.5mと短く、足元の花や昆虫の観察にも活用できる。参考価格は51,480円(税込/2020年1月30日時点)。

■OLYMPUS 8×42 PRO 主な仕様
倍率:8倍
対物レンズ径:42mm
実視界:7.5°
アイレリーフ:18mm
最短合焦距離:1.5m
大きさ(全長×全幅×全高):140×131×53mm
重さ:670g

 

【その4】手にフィットする心地よい質感が魅力の「ツァイス TERRA ED 8×32」


世界最高クラスの光学製品を作り続ける名門ツァイスの双眼鏡。10万円を超える高価なモデルが多いなか、手ごろな価格のエントリークラスに位置づけられるのが「TERRA(テラ)」シリーズ。エントリーと言っても、SCHOTT社のEDレンズを使い、十分な光学性能は確保している。8×42の大口径モデルもあるが実視界が約7°とやや狭いため、実視界が約7.7°と広い8×32の中口径モデルをオススメしたい。カラーはブラック、ブラック/グレー、ブラック/グリーンの3色から選べる。参考価格は54,790円(税込/2020年1月30日時点 ※ブラックは55,350円)。

■ZEISS TERRA ED 8×32 主な仕様
倍率:8倍
対物レンズ径:32mm
実視界:約7.7°
アイレリーフ:16.5mm
最短合焦距離:1.6m
大きさ(全長×全幅):125×117mm
重さ:510g