機材レポート

【CAPA本誌連動企画】フルサイズミラーレス用高倍率ズームの描写力チェック! 伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2020年10月号

伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』本誌人気連載の「レンズパラダイス」。今回は、2020年10月号で掲載したフルサイズミラーレス専用設計の高倍率ズーム「タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD」と「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」の2本のアナザーカットを紹介しよう。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD

スペック
[大きさ] 最大径74×全長117mm [重さ] 約575g [レンズ構成] 14群18枚 [最短撮影距離] 0.19m (WIDE) / 0.8m (TELE) [最大撮影倍率] 0.32倍 (WIDE) / 0.26倍 (TELE) [絞り羽根枚数] 7枚 [フィルター径] 67mm

参考価格 約80,880円 (税込)

 

テレ端で狙った飛行機の機体をシャープに捉えた

新都心ルートで東京都庁の上空を飛行するヒコーキをテレ端開放で狙ってみた。ピントはヒコーキ。青空を濃くするためPLフィルターを使用し、高速シャッターを切っているので少しノイジーになってしまったが、機体の細部までシャープに再現されている。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

ソニー α7R IV シャッター優先オート 1/2000秒 F5.6 ISO1600 WB : オート KANI ViVid CPLフィルター使用 200mm域

 

色収差が見られず、ぼけたワイングラスは自然な描写

大阪市中央公会堂近くのカフェのウィンドウディスプレイ。こういうシーンを見かけると、ついシャッターを切ってしまう。ガラス越しだけとワイングラスの輪郭に色収差は感じられず、ピント面はなかなかシャープ、ぼけたワイングラスや窓の反射も自然な描写だ。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

ソニー α7R IV 絞り優先オート F5.6 1/50秒 +0.7補正 ISO100 WB : オート 135mm域

 

周辺までキレのよい写り

大阪・天満橋の八軒家浜にプカリと浮かんだ巨大なラバーダック。オランダ人アーティスト、フロレンティン・ホフマン氏の作品だ。会場からはラバーダックの顔が逆光なので、対岸からビル群を入れて撮影。被写界深度を深くするためF11で撮影しているが、当然ながら隅までキレのよい写りだ。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

ソニー α7R IV 絞り優先オート F11 1/80秒 ISO100 WB : オート KANI ViVid CPLフィルター使用 50mm域

 

ラバーダックの顔はシャープに写っている

ラバーダックを真正面から捉えられる位置まで移動。周りがちょっと殺風景なので木の葉っぱの隙間から狙い、周囲を葉っぱの前ボケで囲んでみた。葉っぱに日光が当たっていないこともあるが、前ボケも自然でうるさくなく、それでいてラバーダックの顔はシャープに写っている。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

ソニー α7R IV 絞り優先オート F5.6 1/200秒 ISO120 WB : オート 174mm域

 

1段絞ると微ボケのうるささも解消

神戸・北野の異人館に向かう途中のカフェ。ピントは当然クマのぬいぐるみで、拡大した箇所はピント位置から外れた微ボケの部分。絞り開放では少し微ボケがうるさく感じたが、1段絞るとボケが小さくなった分、不快な感じは低減した。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

ソニー α7R IV 絞り優先オート F8 1/160秒 ISO160 WB : オート 149mm域

 

想像以上に深度の浅い28mm

神戸・北野の異人館、うろこの家の室内展示。F2.8の明るさを生かして……といきたいところだが、フルサイズの28mmは広角といえ被写界深度は想像以上に浅い。このカットはF5.0まで絞ったが、手前のテーブルと椅子まではシャープに写せたものの、奥の時計は少し微ボケになっている。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例
 

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

ソニー α7R IV 絞り優先オート F5.0 1/5秒 +0.3補正 ISO160 WB : オート 28mm域

 

光りの反射部分が少し二線ボケ傾向

被写体と背景の距離や光線状況によっては、二線ボケが発生するケースもある。特に光が当たった葉っぱや枝の反射はドーナッツ状のボケになることもあるが、非球面レンズの輪線ボケは、夜景等の点光源以外はそれほど気にならなかった。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

ソニー α7R IV 絞り優先オート F5.0 1/160秒 +0.7補正 ISO160 WB : オート 144mm域

 

ワイド端の周辺描写も開放から安定している

高倍率ズームで気になるワイド端の周辺画質も良好。絞り開放でも安定した周辺画質だが、1段絞るとさらに輪郭がクッキリしてくる。金属の反射など輝度差の大きなハイライトにはわずかに青ハロを感じることもあるが、高倍率ズームということを感じさせない安定した描写だ。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

ソニー α7R IV 絞り優先オート F5.0 1/80秒 -0.7補正 ISO100 WB : オート 28mm域

 

絞っても微ボケはうるさくならず

愛知県知多半島の観光農園花ひろば。ここは6月下旬~12月下旬までひまわりが見られるので有名。少し曇っていたので、空をなるべく入れないように撮影。43mmでF14まで絞ってもパンフォーカスには程遠い結果だが、絞っても微ボケがあまりうるさくなく、穏やかにぼけてくれている。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD 作例

ソニー α7R IV 絞り優先オート F14 1/50秒 +0.3補正 ISO125 WB : 晴天 43mm域

 

 

ニコン NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

スペック
[大きさ] 最大径76.5×全長114mm [重さ] 約570g [レンズ構成] 15群19枚 [最短撮影距離] 0.5m (WIDE) / 0.7m (TELE) [最大撮影倍率] 0.28倍 [絞り羽根枚数] 7枚 [フィルター径] 67mm

参考価格 約125,400円 (税込)

 

背景に溶け込んでいくような美しい後ボケ

このレンズの描写で驚いたのが、ハイライトがにじむように背景に溶け込んでいく後ボケの美しさ。にもかかわらず、ピント面はエッジ立つほどの解像ではないものの、にじみはほとんどなく、高倍率ズームのテレ端絞り開放とは思えないほど安定した解像感を維持している。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

ニコン Z 7 絞り優先オート F6.3 1/320秒 +0.3補正 ISO320 WB : 自然光オート 155mm域

 

近接撮影で色のにじみもなくシャープな描写

開きかけた白いゆりにセミ抜け殻を発見。背景に玉ボケが入るように焦点距離と撮影ポジションを調節した。開放F値はあまり明るくないが、これくらいの近接撮影でも被写界深度は浅く、セミの抜け殻の目と肩の間くらいにピントのピークはあるが、色にじみもなく、非常にシャープな描写だ。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

ニコン Z 7 絞り優先オート F6.3 1/320秒 +0.3補正 ISO320 WB : 自然光オート 155mm域

 

口径食も目立たずピント面は非常にシャープ

約70mmの画角でそれほどの近接撮影でもないので、背景はあまり大きくぼけず煩雑になりやすいが、口径食は目立たず、木漏れ日のボケは周辺までほぼ玉ボケを保っている。後ろの植え込みも柔らかくぼけているが、ピントを合わせたゆりのシベは非常にシャープだ。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

ニコン Z 7 絞り優先オート F6.0 1/125秒 +0.3補正 ISO100 WB : 自然光オート 69mm域

 

コントラストが高めで車体のエッジがしっかり見える

昭和の面影を残す京王線柴崎駅。手前の踏切を渡る途中、ちょっと立ち止まって2~3カット撮影。周辺部の架線は少し青ハロが浮きかけていて、全体に陽炎でメラメラだが、レンズの解像とコントラストが高いためか、車両のエッジは結構しっかりした描写だ。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

ニコン Z 7 絞り優先オート F6.3 1/250秒 +0.7補正 ISO100 WB : 自然光オート 200mm域

 

ワイド端開放でも非常にシャープでボケも自然

昭和記念公園のひまわり畑をワイド端絞り開放で撮影。開放F値を欲張っていないので、絞り開放でも解像に緩さはなくガンガン攻められる。ワイド側でも、必要以上にボケの輪郭がエッジ立ったり、コントラストが高くなりすぎず、ピントを合わせた主要被写体のジャマをしないのもこのレンズの魅力だ。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

ニコン Z 7 絞り優先オート F4 1/1000秒 ISO200 WB : 自然光オート KANI ViVid CPLフィルター使用 24mm域

 

ワイド端周辺部では青ハロやパープルフリンジが表れる

ワイド端でも周辺まで非常に高い解像性能が得られるが、輝度差が非常に大きな輪郭部分には、青ハロやパープルフリンジが出たり、周辺部の細めの線が黒ではなく、少し青っぽくなることがある。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

ニコン Z 7 絞り優先オート F8 1/200秒 +0.3補正 ISO160 WB : 自然光オート 24mm域

 

微ボケは許容範囲内の描写

東京・蔵前のグルメバーガー店で、月に一度の自分へのご褒美。高倍率ズームは最短撮影距離が長めなのが弱点で、このレンズも少し椅子を後ろにずらさないとピントが合わなかった。パティやベーコンに反射した光が微ぼけすると、許容しがたい二線ボケが出るレンズもあるが、このレンズの微ボケは許容範囲内だ。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

ニコン Z 7 絞り優先オート F6.3 1/100秒 -0.3補正 ISO4500 WB : 自然光オート 98mm域

 

画面四隅では若干の像の乱れがある

ミラーレスカメラのレンズは、歪曲収差や周辺光量は電子補正を前提とした設計で、このレンズも歪曲収差や周辺光量低下が気になることはない。絞り開放から周辺画質も安定しているが、さすがに四隅は厳しく、像の乱れは多少ある。長辺方向の周辺あたりから少しだけ解像が緩くなる感じだ。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例

ニコン Z 7 絞り優先オート F5.3 1/120秒 -0.7補正 ISO100 WB : 自然光オート 42mm域

 

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。