機材レポート

“華”より“実”の堅実派レンズ、圧倒的なコスパの秘密はF値にあった

中村文夫の古レンズ温故知新「Petri Orikkor 50mm F2」

日本の35mm一眼レフの歴史は、旭光学(現リコーイメージング)が1952年に発売したアサヒフレックスⅠ型から始まった。これを機にミランダ、トプコン、ミノルタなどの有力カメラメーカーが一眼レフ市場に参入。1961年には全部で14社が一眼レフを発売するまでになる。

 

Petri Orikkor 50mm F2

Petri Orikkor (ペトリ オリコール) 50mm F2
ペトリは日本のカメラ産業黎明期の1907年に栗林製作所として創業した老舗カメラメーカーだ。ペトリブランドを冠した最初の製品は1948年発売のセミ判スプリングカメラで、初代ローマ法王の「PATER」に由来。世界に通用するブランドとして社内公募で選ばれた。

 

開放F2にすることで実現した低価格&コンパクト化

ペトリが初めて35mm一眼レフを発売したのは1959年。ねじ込み式のM42マウントを採用した「ペトリペンタ」が最初の製品だ。値段は50mmF2レンズ付きで26,200円と、同年に登場した「ニコン F」の約1/3。一眼レフ市場参入が遅れたペトリとしてはコストパフォーマンスの高さで巻き返しを図る作戦だった。

これを如実に表しているのが標準レンズの開放F値で、大口径を狙わずF2に抑えることでコストダウンを実現。さらに無理のない設計により、画質低下を防ぐと同時にコンパクト化を達成した。いわば怪我の功名というべき欠点の少ないレンズで、スペック的な華やかさはないが実用性の高さは抜群である。

また、ペトリは翌年に発売した「ペトリペンタV」からレンズマウントをスピゴット式に変更するが、このマウント用アダプターの種類は少なく入手困難。デジタルカメラで遊ぶならペトリペンタ時代のM42マウントレンズを選ぶべきだ。

 

 
Petri Orikkor 50mm F2

レンズ構成は4群7枚で最短撮影距離は45cm、絞りはプリセット式だ。レンズ名の「オリコール」の由来は不明だが、スプリングカメラに装着されたオリコンから派生したと考えられる。

 
Petri Orikkor 50mm F2

「ソニー α7R」への装着には、レイクォール製M42アダプターを使用。レンズ停止位置の調整ができるので、カメラに装着した際、距離目盛り指標が真上に来るよう設定できる。
 

 
Petri Orikkor 50mm F2作例(撮影:中村文夫)

絞り開放時の画質はやや軟調だが、自然なボケ味との相乗効果でノスタルジックな雰囲気の写真が撮れる。ディストーションも良好に補正されている。

ソニー α7R F2 1/60秒 ISO400 WB:オート

 

 
〈文・写真〉中村文夫