機材レポート

他社にない製品で勝負! 多くのアマチュアに愛された50年以上前のレンズ

中村文夫の古レンズ温故知新「W-KOMURA 28mm F3.5」

コムラーのルーツは、レンズ研磨工場として1927年に誕生した島司製作所だ。第二次世界大戦による事業中断を経て、1951年に三協光機として再興、チバノンという名前のライカスクリューマウントレンズで交換レンズメーカーの仲間入りを果たす。

ブランド名をコムラーに変更したのは1955年で、小島社長と稲村専務の苗字からこう名付けられた。そして1957年ごろから一眼レフ用レンズ市場に進出。さらに中判や大判カメラ用レンズの分野にも手を広げ、交換レンズの総合メーカーとして躍進を遂げる。

 

W-KOMURA 28mm F3.5
コムラーの一眼レフ用28mmレンズでは1960年発売の28mmF2.8に次ぐ製品で、当時の定価は14800円。ニッコールレンズの約半分の価格とコストパフォーマンスの高さが売りだった。

 

他社にない製品で勝負していたコムラー

今回紹介する「W-KOMURA 28mm F3.5」は、1963年ごろに登場した35mm一眼レフ用の広角レンズだ。光学系は前玉に凹レンズを配したレトロフォーカス式。当時としては時代の最先端をゆく画期的な製品だった。また、この時代のコムラーは、85mmF1.4や100mmF1.8など大口径中望遠レンズの分野でも業界をリード。他社にない製品で勝負するという意味で、現在のシグマのような存在だった。

多くのアマチュアに愛されたレンズ

マウントはユニマウントと名付けられた交換式。ねじ込み式のリングを交換するだけでさまざまなメーカーのボディで使用できることに加え、カメラメーカー製レンズより割安だったことから、多くのアマチュアカメラマンに愛用された。

 

 

レンズ構成は6群6枚でフィルター径は55mm。全長は54.2mmで重量は290gとコンパクトな広角レンズだ。最短撮影距離は0.4mで絞りはプリセット式。

 

ユニマウントと名付けられた交換式マウントシステムを採用。使用するカメラに合わせて、ねじ込み式のマウントを選ぶ方式だ。Pの刻印がある写真のマウントはプラクチカ用のM42。ソニーαへの取り付けは、レイクォール製M42 → Eアダプターを使用した。
 

 

画面中央にピントを合わせたが、絞り開放だと周辺部の画質低下が目立つ。またステンドグラスから差し込んだ光がにじむなど、一眼レフ黎明期の製品らしい大らかさが残るクラシックレンズだ。

ソニーα7R F3.5 1/60秒 +0.3補正 ISO250

 

 
〈文・写真〉中村文夫