富士フイルム史上最大の下克上!? 「X-T30」の“色”に感服【X-T30レビュー:後編】

富士フイルムのミラーレスカメラ「X-T30」は中級機という位置づけながら上位モデル「X-T3」とほぼ同じ中身を搭載。前編ではその実力をスピード性能を中心に紹介したが、筆者がX-T30が“下剋上モデル”だと感じるもっとも大きな理由は“色”にある。後編では、その“色”や上位モデルとの差別化などについて見ていこう。

▲2019年3月発売のX-T30。実売価格は11万4960円(ボディ)

 

“色”に関するとっておきの2つの機能

もともと「色」に定評のあるXシリーズだが、X-T30で注目すべき点は2つ。

 

1つ目は、フィルムシミュレーション「ETERNA」が使えることだ。XシリーズはJPEG撮って出しで美しい色再現を可能にするフィルムシミュレーション機能が最大の魅力とも言える。ETERNAは映画用フィルムの名称で低コントラスト低彩度が特徴。静止画で使用するとコントラストの低さから難しさもあるが淡さがどこかクセになる発色だ。これはX-T3の前機種であるX-T2では使えないカラーなのでお得感がある。

 

2つ目は、鮮やかな色を撮影したときに起こりがちな色飽和を低減させる「カラークロームエフェクト(CCR)」が使えること。CCRは中判カメラのGFX 50Sで初めて搭載された極めて優秀な機能だが、それが価格帯の全く違うX-T30でも使えてしまうとは驚きだ。

▲カラークローム・エフェクトは弱、強の2段階から選べる。

 

カラークローム・エフェクを使うと、緑や黄色、赤や青など鮮やかな色味のトーンだけを抑え階調性を高める。GFXでは1枚の画像に対して約1秒の処理時間を要する機能だったが、進化した画像処理エンジンX-Processor 4を搭載するX-T30では処理時間がほとんどなくなった。さらには高速連写中でも使用できるのだ。

<作例>

満開の桜を明るい夕焼けがオレンジに染めた。X-T30は色が美しいだけでなく階調が非常に豊か。「ダイナミックレンジ優先」機能を強に設定するとハイライトの白とび、シャドーの黒つぶれを両方とも防いでくれた。ダイナミックレンジ優先モードでは「ダイナミックレンジ拡張」と「ハイライトトーン」「シャドートーン」の3項目を同時に調整するためかなり強めの効果となる反面、強ではややノイズが増える。

富士フイルムX-T30 XF56mmF1.2 R APD 絞り優先 F8 1/500秒 ISO640 WB:5700K フィルムシミュレーション:Velvia

 

細かな部分では上位モデルとの差別化も

メカシャッターで設定できるシャッタースピードは最高1/4000秒。X-T3などの上位機種は最高1/8000秒なので一段分の差があり、こうした点でクラス分けをされている。しかし電子シャッターならX-T3などと同じ最高1/32000秒まで設定できるのでさまざまな露出状況に対応できる。

▲シャッタースピードは上面のダイヤルで調整可能。視覚的にもわかりやすい

 

<作例>

雪混じりの雨と桜。操作性もシンプルでわかりやすいので撮影状況が悪くてもカメラ操作で手間取ることもない。X-T30は防塵防滴ではないのできちんと傘やカメラカバーを使って雨や雪を防ぐようにしたい。

富士フイルムX-T30 XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR(165mm域) 絞り優先 F5 1/80秒 ISO160 WB:オート フィルムシミュレーション:PROVIA

 

背面液晶にはチルトモニターが採用されている。ローアングルやハイアングルの撮影を手軽にしてくれるので重宝する。X-T3は縦位置方向にも動く3方向チルトモニターが採用されており、こうした部分でも差別化されている。なお、X-T3に採用されている防塵防滴耐低温仕様はX-T30には採用されていない。

▲背面モニターはチルト式を採用

 

<作例>

かわいらしく咲いていたニリンソウ。カメラを地面すれすれまで下げてチルトモニターを使用して撮影した。カメラ位置を下げることで前ボケと後ボケを容易に作り出すことができた。

富士フイルムX-T30 XF90mmF2 R LM WR 絞り優先 F2 1/1250秒 ISO160 WB:オート フィルムシミュレーション:Velvia

 

サイズ感と機能性の良バランスモデル! 不満点もファームアップで改善

X-T30は上位機種X-T3のソフト面をそのまま受け継いだ高性能機種だ。ハード面はX-T3のようなプロフェッショナル仕様ではなく一般ユースを想定したものになっているが、それでも十分に使いやすい。

 

また、X-T30の使用感でひとつ大きく不満だったのがQボタンの誤操作であったが、しかしそれも4月に公開されたファームアップでボタンの反応を遅延させるように調整された。6月にはQボタンの無効化やFnボタン化、他ボタンへのQボタン割当などができるようなファームアップが公開予定となっている。こうした細やかな配慮がファームアップで入ってくるのはユーザーにとってとても心強いものだ。

 

軽量で日常的に使いやすいサイズ感と上位機種の良いとこ取りをした抜群の機能性。X-T30は使って納得できる優れた機種である。

 

【前編】ハイクラスと“ほぼ同じ中身”をもつ「X-T30」はコスパ抜群の実力機だった!